2025年12月13日土曜日

日本科学者会議入会申込書等

日本科学者会議の入会呼びかけと申込書です。
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2025年6月15日日曜日

日本科学者会議群馬支部(JSAG)総会記念セミナー要旨

日本科学者会議群馬支部( JSAG ) 総会記念セミナーについて
テーマ:桐生市の生活保護問題について
日時:2025年5月28日(水)18時00分〜19時30分 参加無料
講師:斎藤 匠氏(斎藤法律事務所・弁護士)
場所:高崎経済大学212教室(2号館1階)
参加者はZOOM参加者を含め23⼈。司会は藤井正希先生(群馬大学社会情報学部)が行った。

斎藤 匠氏講演内容
事件の発端
 2023年7月26日に桐生市在住の50代のA氏は生活保護の申請を行った。その時、支援者が同行したが、当初同席や発言を否定された。8月9日に、月額7万1500円程の生活扶助費と家賃支給が決定された。桐生市は、一括ではなく1日1000円の分割支給し(光熱費や電話代請求書を示せば別途支給された)、総額でも半額程度しか渡していない。月曜日から金曜日まで、自分の足で市の保護係窓口に来る前に、ハローワークに行かせ、そこで受付の判子をもらわなければ支給しない、という扱いだった。A氏は、これはおかしいと思い、支援団体の司法書士に相談した。全国的にも前例のない事件だったので、大きく報道された。
 A氏の事案の報道により明らかになる多く問題行為 
・報道を見た他の生活保護利用者から支援団体に対し、分割支給・一部不支給というA氏の事例と類似した相談が多数寄せられた。
・市による扶養届の偽造が疑われる事案や、扶養届に基づく収入認定が違法な事案もあった。
・窓口での申請拒否(いわゆる水際作戦)相談も多かった。
・桐生市が、利用者と同じ姓の認め印を多数保有して、利用者名の文書を承諾なく作成していたと思われる事案があった。
・桐生市管理の認め印は1948本あった。勝手に受領証に押印していた事例もあったことも確認されている
・民間の金銭管理団体による金銭管理の事実上の強制があった。
・これらの対応を管理していた助川直樹保健福祉部長(当時)は、事件発覚前に退職している。
・金銭管理を行っていた外部の民間団体、「社会福祉協議会」、「日本福祉サポート」、「ほほえみの会」

第三者委員会へ寄せられた情報提供の内容 (2025年1月6日から23日までの情報。)
・生活保護利用者につい て、「ろくでもねぇ」「あいつらはくず」と言ってはばからない職員がいた。(通し番号75)
・保護係の職員による恫喝(どうかつ)、罵声は日常茶飯事で、他課さえ聞く堪えない内容だった。 しかも誰も注意せず、制止しなかった。自浄作用がない(同49)
・特定の職員がよく怒鳴っているのが、近くで仕事をしているときに聞こえた。 これは周知の事実だと思う(同91)以上いずも桐生市役所職員から情報。
・家計簿が1円でもあわないと怒鳴られた。眼鏡を購入した際に「こは税金ですよ」と怒鳴られた。(同15・利用者)
・担当職員が窓口の男女に「てめえら」 「ふざけんじゃーぞ」「さっさと仕事しろや」などと大声で怒鳴りつけている場面をみた(同97・市民 )
・何故、このような対応がなされていたのか? 

国家賠償請求事件の提訴
・2024年4月3日に提訴
・原告は、A氏、B氏の2名  被告は桐生市
・B氏も、桐生市から生活扶助費として7日毎に7000円(1日あたり1000円)と光熱費等が渡されていた。
・請求額は1人あたり25万円の慰謝料と10%弁護士費用、の一部請求とした。
・違法行為は、①A氏、B氏ともに生活扶助費の一部不支給(生活保護法31条2項違反。)
・②A氏について、ハローワークに赴いて、求職活動をすること支給条件として、平日毎に来所させて手渡する(即ち過度な分割支給の)違法。
・2024年9月17日に、3人目の原告としてC氏が提訴。
・C氏は、上記①の一部不支給の違法性他に、③扶養届に基づく収入認定の違法性を主張。
・C氏には母から月額6000円相当の食品による現物援助があるとして、生活保護利用当初から同額が減されていたが、実際には援助はなく、桐生市は確認を怠った点で法3条、8条及び31条2項違反

裁判での桐生市の主張
・一部不支給については法31条2項違反であること認めた。
・組織的な行為であることも認めた。
・未支給の現金については、利用者毎に封筒で管理し、封筒の表裏に手書きのペンで収支を記載していた。
・一方で、分割支給について桐生市は、男性の同意を得たと主張した。但し、同意を得たから違法では無いとは言ってない
・ハローワークで判子をもらうことを扶助費の支給条件はしていない、と主張
・扶養届による現物送付を確認していない点については、法61条(届け出の義務)を根拠に、桐生市行為は違法で無いと主張してる。

裁判の目的
・出来る限り詳細に求釈明を繰り返し、本件の違法行為が組織的なものであることを認めさせる。
・本件違法行為については、福祉事務所長以下職員全が了解して実行していたこと、末端の職員の行き過ぎた行為ではないことを明らかにする。
・その上で、何故このような行為が実行されたのかその理由を明らかにし、再発防止に何が必要なのかが明らかになればよい。

群馬県の特別監査の要点
・2024年6月19日通知によれば、 不適切な対応の主なものとして、 
・①当月内に保護費を全額支給していな事案(法第31条第2項違反)
市の主張:一度支給した保護費を市が預かる・・・地方自治法235条の4、第2項に違反)
・②過度な分割支給
・③市が保管している認印の使用(件数の特定困難)
・④窓口支給日と異なる日付を受領簿に記載 
・⑤行方不明の親族名で提出された「扶養届」で収入認定、を挙げている。 
・被保護者数の減少については、申請権の侵害が疑われる事案が多数あること、境界層該当措置に係わる却下については、仕送りの強要が疑われるものや、実態が把握できない事案が多数あるとの指摘があった。

桐生市長コメント(令和7年3月28日) 
・本市生活保護の利用者数がおよそ10年で半減したことについて、その時期の桐生市福祉事務所の組織として認識に重大な問題があり、そこから生じた執行により、申請権の侵害が生じていたことが大きな要因であったと厳粛に受け止め、深く反省しております。
・3つの不適切事案にきましては、「最低生活保障」及び「自立助長」という制度の目的に適合しない指導や、様々な不適切な対応があり、ご指摘の通り極めて不正常な組織体制に陥っていたものと改めて認識いたしました。
・生活保護制度の崇高な理念を身勝手な解釈で捻じ曲げ、組織風土の中に形成された、悪しき慣行や極めてずさんな事務処理の数々について、福祉事務所という、他部局にはない組織構造とはいえ、問題発覚まで一切気づけなかった私どもの責任は重く、心から恥じております。
・制度利用者並びに相談者の皆様に対して、 耐え難い苦痛や不利益を与えてしまったこと、また、桐生市民の誇りを著しく傷付けてしまったことに対しまして、心よりお詫び申し上げます。
・被保護者・受給の呼び方について、この報告書が使っっている、「利用者」に統一し、徹底する
・適正な事務の執行を今後維持していくために、来年度は、群馬県へ職員派遣研修実施する方向で調整している
・生活保護行政の運営において模範的な先進自治体への視察研修つきましも早期実施向け調整している
・職員体制につきましては、ケースワーカーを1名増員し、 8名体制とし法定人数を満たす
・査察指導員も1名増員し、 2名体制とすることでケースワークの実施体制を強化する
・ケースワーカー8名のうち、社会福祉士資格を有するケースワーカーを2名増員し 3名体制とし、女性ケースワーカーを1名増員し 3名体制とする
・医療や健康面からの生活支援充実を図るため、保護係に保健師2名を配置すること決めた
・また、専門性を踏えた対応を強化するため、キャリアコンサルタント資格を有する就労支援相談員および、ケースワーカー経験のある面接相談員を各1名ずつ配置することし、保護係への警察OBの配置はいたしません。
・認識ちがいを防ぐことを目的した窓口相談の録音実施
・総務部に生活保護対応相談窓口を設置し、利用者がケースワーカーの話しにくい相談や苦情について、過去の問題も含め受け付ける体制を構築する。
・生活保護業務運営の健全化計画を策定し、法令順守徹底を図る中で、組織として改善状況を随時、確認するとともに、利用者への適正な対応を維持していくためのチャック機能を有するコンプライアンス体制を構築したいと考えている。
・こうした一連の再発防止策を速やかに実現するよう、総務部長、保健福祉部長に指示した。
・桐生市を被告とする国家賠償請求訴訟につきましても、 本報告の内容を踏まえまして、訴訟委任している代理人弁護士とも協議のうえ、適切に対応していく。
・本市の不適切な生活保護業務につきましては、利用者の方、市民の方のみならず厚生労働省、群馬県を始め、多くの関係機関の皆様に、多大なるご迷惑おかけし、大変申し訳なく思っている。
・今後、二度とこのような事態を起さないよう、市長である私が先頭に立ち、福祉事務所職員一丸となって生活保護行政の一層の改善を進めることで、信頼回復に努めてまいります。
・最後に、責任者である私につきましては、給料月額の100 分の30 、6か月、副市長は給料額の100 分の20 、6か月、減額する議案を次期議会に提出したいと考えております。
・関係職員につきましても、管理等の処分が必要と考えおり、「桐生市行政審査委員会」に諮った上で、後日、公表させていだきと考えております。
・桐生市福祉事務所が、真に生まれ変わったと市民の皆様から認めていだけるよう、生活保護制度を必要とする方々、制度利用する方々に寄り添った適正な運用に全身全霊を傾注してまいります。

群馬・桐生市の生活保護問題 幹部職員など7人を懲戒処分
2025年5月12日 20時0分群馬テレビニュースを改変
生活保護費の不適切な支給を巡る問題で、桐生市は、管理監督者という立場にあった幹部職員など7人を懲戒処分にしたと発表しました。懲戒処分となったのは、生活保護業務を管理監督する立場にあった 50代の部長級から課長補佐級までの5人と生活保護費の支給業務に携わっていた40代の主査と30代の主任のあわせて7人です。50代の職員5人は、管理監督する立場にありながら、長年にわたり行われてきた生活保護業務における不適切な事務処理を改善することができず市の信頼を著しく失墜させたとしています。また、30代の主任については、生活保護費の支給決定を怠り、福祉課に保管してあった印鑑を本人の同意なく生活保護費の受領簿に押印していました。市は、50代の職員5人と30代の主任の6人を減給10分の1、1カ月の処分にし、40代の主査を戒告処分にしました。桐生市の荒木市長は、「生活保護制度利用者並びに相談者の皆様に対して、耐え難い苦痛や不利益を与えてしまったことに心よりお詫び申し上げます。生活保護制度を必要とする方々や利用する方々に寄り添った適正な運用に全身全霊を傾注してまいります」とコメントしています。

荒木恵司市長は「生活保護の利用者や相談者に耐えがたい苦痛や不利益を与えてしまい心よりお詫び申し上げます。制度を必要とする方、利用する方々に寄り添った適正な運用に全身全霊を傾注してまいります」とコメントしている。この問題を巡っては、荒木市長の給与を30パーセント、森山享大副市長の給与を20パーセント、それぞれ6か月減額する条例案も議会で可決されている。

 文責 青木武生 

2025年5月6日火曜日

日本学術会議法案に反対する会長声明 群馬弁護士会

 日本学術会議法案に反対する会長声明
1 .2025年3月7日、 政府は、日本学術会議法案(以下「法案」という)を国会に提出した。法案は、日本学術会議法(以下「現行法」という)を廃止し、現行の日本学術会議とは全く異なる組織としての法人「日本学術会議」(以下「法人」という)を新設するものである。しかし、その内容は、日本学術会議がナショナルアカデミーとして有すべき政治権力からの独立性・自律性を失わせ、憲法23条が保障する学問の自由を侵害するものであって、到底容認できない。
2.そもそも、この問題は、2020年10月1日、当時の管内閣総理大臣が日本学術会議の会員6名の任命を拒否したことに端を発している。この任命拒否について同内閣総理大臣は、その具体的理由を明らかにしないまま「組織全体の見直し」にまで言及していた。
 これに対して当会は、同年11月11日付「日本学術会議の会員任命拒否を撤回し、同会議の推薦どおりに任命するよう求める会長声明」において、①明治憲法下で政府が
学問を弾圧してきたことへの反省に基づいて現行法が制定されたこと、②学問の自由の保障のために日本学術会議の独立性と自律性が確保されていること、③任命拒否は
現行法7条2項に違反し、憲法23条の学問の自由を侵害するものであることを指摘し、速やかな任命を求めた。
 法案は、こうした違憲性・違法性が何ら払拭されないまま、むしろこれを糊塗するかのように提出されたものである。
3.現行法では「日本学術会議は、独立して……職務を行う」(3条柱書)とあり、職務の独立性が確保されているのに対して、法案に職務の独立性を定める文言はない。むし
ろ、法人に複数の機関を設けることにより、政府をはじめ外部からの介入を許容する体制が幾重にも作られている。
 すなわち、会員以外の者から選任される選定助言委員会が会員の選定方針に関して
意見を述べ(法案26条1項1号・31条4項)、会員以外の者から任命される運営助言委員会が法人の活動、運営等に関して意見を述べ(法案27条1項・36条3項)、内閣府に設置され、内閣総理大臣が委員を任命する日本学術会議評価委員会が法人の中期的な活動計画や業務の点検評価について意見を述べ(法案42条3項・51条)、内閣総理大臣が会員以外の者から委員を任命する監事が業務を監査し、調査を行うとされている(法案19条・23条)。
4.さらに、法案では、会員候補者の選定に当たっては、会員で構成される会員候補者選定委員会(法案25条3項)が「会員、大学、研究機関、学会、経済団体その他の民間の団体等の多様な関係者から推薦を求める」といった「必要な措置を講じなければなら」ず(法案30条2項)、「行政、産業界等との連携による活動」等の実績のある科学者が含まれるよう「配慮しなければならない」(法案30条4項3号)とされている。現行法が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し」(17条)としていることと比較すると、法案は、現行法にはない多くの制約を課すものといえる。
 これら各機関の設置・運用は、活動面における政府からの独立性、会員選考における独立性・自律性といったナショナルアカデミーの根幹を損なうものであり、学問の自由に対する重大な脅威となりかねない。
5.また、財源は、政府が「必要と認める金額を補助することができる」とするにとどまり(法案48条1項)、「国庫の負担」を明記する現行法1条3項からは大きく後退している。
6 .日本学術会議は、2021年4月22日、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」と題する声明を発表し、その中で、各国のナショナルアカデミーが共通して備えている要件として、①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性があることを挙げ、日本学術会議がその役割を発揮するためにはこれらの5要件の制度的保障が不可欠であることを強調した。
 しかるに、法案は、これらの5要件を大きく逸脱しており、日本学術会議を国際水準に遠く及ばない存在へと変質させている。
7.よって、当会は、政府に対し、法案の撤回を要求するとともに、内閣総理大臣に対し、改めて2020年10月の学術会議会員候補者6名の任命拒否を是正してその正常化を図るよう求めるものである。

以 上
2025年4月21日
群馬弁護士会 会長 横地宏紀

2025年5月4日日曜日

日本科学者会議群馬支部幹事会 声明

 学問の自由を保障し、軍拡でなく文教予算の倍増を
2025年2月20日
日本科学者会議群馬支部幹事会


 本年の第217回国会(25年1月24日~)では、日本の学問研究の自由や文教体制をめぐって、将来に禍根を残すような議案が提出・可決されようとしている。
日本科学者会議群馬支部幹事会は、学問研究と表現の自由を尊重する立場から、日本学術会議の法人化に反対し、教育研究の充実を希求する立場から、「戦争に巻き込まれる防衛予算でなく文教予算の倍増」を表明する。
 今国会で政府が提出する日本学術会議法改正案には、「選考助言委員会」・「運営助言委員会」・「レビュー委員会」・「監事」などを新設し、政府や産業界による学術会議への監視・介入に道を開いている。これは、時の政府と産業界の目先の利害を優先し、人類の科学の発展・平和・民主主義を阻害し、学問研究の自由を侵害する法案なので、認めることはできない。
 戦後最大の115兆円の本年の一般会計予算では、社会保障・生活関連予算が抑え込まれる一方、最大の伸びを示したのは8.7兆円に達した「防衛関係予算」であり、5.5兆円に留まった「文教および科学振興予算」を大幅に上回った。現代日本の教育研究の現場は、初等・中等・高等教育機関において、それぞれ人不足・物不足・資金不足に直面している。初等・中等教育機関では、職場としては過酷な労働現場であり、高等教育機関では、研究設備や自由に使える研究費が貧弱で、自主的・創造的な研究テーマが追求しにくい環境にある。小規模の私立大学は経営すら立ち行かない事態に陥っている。
 このような劣悪な教育研究環境では、日本の未来展望は描けないので、文教予算を倍増し、教育研究スタッフの倍増、設備の更新・充実、研究費の充実を実現することが喫緊の課題である。
 以上の理由から、日本科学者会議群馬支部幹事会は、ここに「学問の自由を保障し、軍拡でなく文教予算の倍増を」の声明を公表する。

2025年4月25日金曜日

JSAG規約

日本科学者会議群馬支部規約(2015年4月24日改正)です。→JSAG規約


※最上部に表示するために、日付を2025年4月25日としています。

2025年4月10日木曜日

日本科学者会議群馬支部( JSAG ) 総会記念セミナーのご案内

 日本科学者会議群馬支部( JSAG ) 総会記念セミナーのご案内

 
テーマ:桐生市の生活保護問題について(仮)
日 時:2025年5月28日(水)18時00分〜19時30分 参加無料
講 師:斎藤 匠氏(斎藤法律事務所・弁護士)
場 所:高崎経済大学212教室(2号館1階)
※学内駐車場は教職員優先です。お越しの際は、公共交通機関をご利用ください。
※企画問い合わせは日本科学者会議群馬支部までお願いします。

(大学事務局では対応できません)。

概 要:2023年10月、生活保護利用者からの相談により、桐生市の生活保護行政に多くの問題があることが明らかとなりました。決定された生活扶助額全額を支給せず、1日あたり1000円を、毎日ハローワークに通って判子をもらってくることを条件に支給していました。憲法25条に定められた生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を保障するのが生活保護です。桐生市で何が行われていたのか、何故行われていたのか、防止するにはどうしたら良いか、説明します。

学内のお越しの場合には、できるだけ、公共交通機関をご利用くださるようお願いします。 

高崎駅西口バス乗り場 2番
箕郷営業所高崎駅西口発着「高崎駅-経大前-沖白川橋-箕郷」区間
榛名営業所高崎駅西口発着「高崎駅-経大前-本郷-室田-榛名湖」区間

市内循環バスぐるりん
高崎駅西口バス乗り場 4番
系統番号3 経大・金井淵コース(下り)・六郷・真木病院コース(上り)
系統番号4 六郷・真木病院コース(下り)・経大・金井淵コース(上り)



 


2024年12月20日金曜日

JSAG秋季セミナー 丹治杉江氏 講演要旨

 JSAG秋季セミナー 今回は対面講演でした。 参加者13名 
場所 群馬県前橋市総合福祉会館第3会議室
2024年11月12日(火)17時30分~19時30分 講師 丹治杉江氏
(ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・ふくしま伝言館事務局長 ALPS処理汚染水放出差止訴訟事務局長)
演題:終わらない原発事故~福島被災地レポート                
何の落ち度もないのに原発事故被災・司法不当判決・汚染水放出による環境再汚染…三重被害者となった

はじめに
 東日本大震災とそれに続く東京電力福島第一原発事故から13年7か月。放射能事故は収束どころか、ますます深刻で複雑な事態となっています。被災地の「原発事故緊急事態宣言」は発せられたまま、福島県は公衆の被ばく限度として国際的に勧告されている年1ミリシーベルトの20倍、20m㏜を容認強要。法治国家で許されるのでしょうか。
 政府・マスメディアは「復興」を強調しますが「復旧」さえも儘ならない、学校も、医療機関もスーパーもガソリンスタンドも介護施設もまともにない地域に被災者が戻れる筈はなく、避難指示地域の帰還率は10%程度。将来の町の未来像は描けないのが実態です。
 福島第一原発では、「廃炉」の最終形が見通せず、作業員の被ばく事故が相次いでいます。デブリ0.7g取り出しに2兆円!事故後13年でこの事態。できもしない廃炉をできるかのように装う「やるやる詐欺」に騙される一方で、福島事故原発の二次災害リスクは高まるばかりです。汚染水海洋投棄に伴う作業員の深刻な被ばく事故も続いています。
 一方で、元日に発生した能登半島地震では、震源近くに立地する志賀原発(停止中)も強い揺れと3メートルの津波に襲われ、変圧器から約2万リットルの油が漏れ、外部電源の一部から受電ができなくなるなどのトラブルが生じました。道路の寸断、海岸線の隆起、放射線モニタリングポストの故障等、改めて原発施設の脆弱性と放射能から「逃げる・遮断する・洗う」という「避難」「防御」計画の非現実性を浮き彫りにしました。
 にもかかわらず、石破首相は岸田政権のGX政策を強力に推し進めようとしています。どんな革新炉でも「使用済み核燃料」の安全な処理、放射能をなくすことは原理的に不可能なのです。「安全が確認された原発再稼働」という「安全の基準」とは何でしょうか?
 福島事故被害は続いています。放射性物質の拡散と、被害の実相を伝える人々に「風評加害者」レッテルを張り、事故の終息/被災者切り捨てを進める原子力複合体を告発します。

1)福島被災地の状況
①ふるさとに戻れない住民は8万人余、今後100年は人が住めなくなってしまった地域は7町村にわたり309㌔㎡、東京23区の半分の広さに及びます。震災前には病院は8つありましたが、 再開したのは2つ。診療所は61から32に減りました。学校については、小学校・中学校は震災前にあわせて41校ありましたが、現在は23校です。県立高校も8校から2校(6校は休校)。これらの数字には原発事故の過酷さ、異常さ、事故が終わってない事が示されてます。
②帰還困難区域に「特定再生復興拠点」?!帰還か避難継続か。分断と矛盾を拡大。
③原発事故避難者などの関連死は2,335人。(直接死1600人)関連自殺者はわかっているだけで119人。孤独死激増。子ども甲状腺がん問題は第2次検査では高線量地域での発生が顕著。事故10年後から始まるとされた原発事故由来の「心筋梗塞、多臓器ガン」の発症など、静かにしかし確実に健康被害が始まっています。
④福島県の産業もまだら状に「特需景気」もあるものの事故前には戻っていない。農業産出額は国の支援もあり3.11前の90%まで回復している物もあるが、林業産出額は80%(山菜・キノコの出荷制限16県に及んでいる)。漁業では沿岸魚業の水揚げ高は20%台で厳しいまま。今後、長期間の「汚染水放出」の影響が懸念される。
⑤コンビニ・スーパー・ガソリンスタンド(日曜休業多し)はわずかながら開店。床屋はあっても、病院も美容院も介護施設も保育園も1~2か所。若者がいない。子育て世代がいない。地域社会はまともに機能していない。

2)「廃炉中長期ロードマップ」第5回改訂、40年で終わらない
◎不都合な真実・・・「廃炉」「避難」「ボランティアの放射能被爆」に関する法律が無い
■「廃炉・廃棄物」30年後の責任者は?、 70年80兆円越え?、税金と電気代!

終らない廃炉・危険なフクイチ
廃炉作業労働者は1日約4,000人が年間被ばく量50m㏜、5年で100m㏜上限まで働かされるのです。「基準」は非人道的。しかし、作業員が居なければ廃炉はできない。
①デブリ問題・・・メルトダウンを起こした1~3号機の全量推定880t取り出せても最終処分の見通しはない。今後の28年で取り出すとしたら、毎日休みなく80㌔ずつ取り出さなくてはならない計画。13年間で、デブリ0.7gつまみだしで大喜び?
➁原子炉格納容器蓋・・・・桁違いのセシウム付着が判明
1~3号機の格納容器上蓋(シールドプラグ)に途方もない高濃度の放射性物質が付着していることを発表。その量は3基合計で50.1PBq∼最大70P㏃。※ P=ペタ・・・1,000兆Bq(ベクレル) 「7京問題」と呼ばれる。3.11拡散量の23倍以上。
③廃炉に伴い発生する「原子炉建屋構造物や制御棒」など「低レベル」L1放射性廃棄物とはいえ、かなりの高線量廃棄物。総量28万㌧、規制委員会規制基準ではすべて地下70メートルより深く埋めて3~400年は電力会社、のち10万年は隔離保管。これは北海道寿都町で話題の高レベル廃棄物とは別の問題。参:1600年関ヶ原の闘い
④中間貯蔵施設(大熊町・双葉町16k㎡)(2,200万トン!)、30年後どうする?
⑤1号機の土台(ペデスタン)損傷!燃料プールに倒壊したら最悪事故に。鉄筋コンクリートの円筒形で、厚さ1.2メートル、内側の直径は5メートル。核燃料が入っていた重さ440トンの圧力容器を支えているが、壁面が床から高さ1メートルにわたって全周でコンクリートがなくなり、鉄筋が露出。事故時の溶融燃料の熱で崩壊した可能性がある。土台外周の床付近は堆積物が積もって確認できず、損傷の奥行きは不明。
⑥たまり続けるALPS処理後、こし取られた汚泥状の「スラリー」の処分方法がない。
ストロンチウムやセシウム、数千Bq(ベクレル)の高濃度汚染物。2013年からたまり続けて現在数百トン。容器の劣化も進む中、処分方法がない。
 
3)ALPS処理汚染水・海はゴミ捨て場ではない!プラスチックはダメで放射能はいいの?
 デブリある限り、地下水の流入を止めない限り、汚染水発生し、放出は続く。現在は90~100t/日発生。放出は3月までで3万1200tでタンク約30基分だが、増える量は約20基分。実質10基分しか減らない。海洋環境は汚染されつづける。
 タンク1000基にたまった130万㌧!汚染水を海洋投棄することが「福島の復興」に役立つのか!廃炉を進める為に必要なのか!IAEAは国際的中立の第三者機関か。

■9月8日、11月9日福島地裁に「海洋放出差止」訴訟提起
「ALPS処理汚染水」の海洋放出によって「二重の被害」を受けることになる。しかも今回の被害は国や東電の故意によるもので、新たな加害行為だ。
・海洋放出は非科学的!・・・・六ケ所村再処理工場の汚染水問題が見え隠れ。海産物の体内蓄積や環境への影響が専門家から懸念。海水で薄めても総量は同じ。
・2015年「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束反故は民主主義の破壊行為であり、今後の福島廃炉に伴う放射性廃棄物の処理の合意形成の試金石。「放射性物質」を故意に、人類共有の資産であるに流すという行為は、法律以前の平穏的生活権侵害であり道徳性・倫理感の欠如、平穏生活圏の侵害です。賠償金を用意しなければ行えない「海洋投棄」は即刻中止すべき、と、怒りをもって福島地裁に提訴。

この海洋投棄案には対案がある
①10万トン級大型タンクの建設による長期保管や、モルタル固化処分案
➁地下水を遮断できる「広域遮水壁」案、流入を止める集水井戸。

◆現在のダダ漏れ凍土壁345億円、維持費10億円・・・広域遮水壁は半額で作れる。
・廃炉まで70年余。被害、81兆円という試算もある。たとえ汚染水海洋放出しても、長期の凍土壁の寿命も心配されている。まずは発生を止めることが重要。

4)真の復興を求めて・・・「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」
・新しい産業による新しいまちづくりで私たちが願う「ふるさと復興」は出来ない
・膨大な復興予算投入=惨事便乗型大型開発、ロボット開発に隠れた「軍事産業研究場」
・原発事故を利用して原子力ムラが「もうひと儲け」でしかありません。

5)減災・防災の立場から「原発稼働」ありえない!ゆるさない!!
・災害列島日本111の活火山 54基の原発は稼働しようがしまいが依然存在
・地震 異常気象 コロナ・・・「危険の予測と防御」「人道的避難」は国民的課題

6)原発事故被災者民事訴訟
・全国30余訴訟、被害者の権利回復、事故原因解明、救済を求めている。
・2022年6月17日最高裁は「想定外の津波」に逃げ込み「国の責任」を免罪。
・過去の責任の否定は、将来の義務の放棄。あの過酷事故の教訓や反省は?

《最後に》
・原発はそもそも憲法違反施設であり「核発電」。人口が少なく産業がない町なら迷惑・危険施設建設OKなのか。過疎村に金さえ投げ込めば、無理が通り道理が引っ込む?
・日本の原子力安全規制は、事故に責任は持たない、原子力推進側と一体の体制であり、「泥棒に十手を持たせる」のと同じとまで言われています。
・また、被災者を切り捨て、国の事故責任を否定し、再稼働に力を貸す司法の不正義は許せません。
・地震大国原発「耐震基準」600~1000ガル。三井ホーム5115ガル、住友林業3406ガル。今、新規原発の建設費用を含むもろもろのコストを事業者が発電前から徴収できるようにする「RABモデル」という制度が導入されようとしています。原発は国民にとってとんでもない負債なのです。SDGsや社会保障等を充実させても、一度原発事故が起きたらすべて終わりです。
・原発は核兵器製造の技術と表裏一体。プルトニウム製造工場です。私達は、次世代に、自らが解決できない重大な負債・課題を引き渡そうとしています。
・原発は嘘、隠蔽、札束、強権で動かし、「安全神話」は一貫した政・官・財・学・マスコミ、さらに司法の強力な布陣で作り上げられました。原発はクリーンでもグリーンでもありません。ウラン採掘から燃料加工、原発の運転廃棄物処理、廃炉に至る間まで、環境を汚染し労働者の被ばくを伴います。
・今原発は電力供給量5%程度。再生可能エネの4分の一です。節電と再生可能エネへの転換、蓄電池や電気の融通システムなど、原発なくても電気は足ります。
「無知は罪。無口はもっと罪。」  文責 丹治杉江