2019年5月20日月曜日

2019年 夏期セミナー開催について



2019年 夏期セミナー開催について

開催予定日 7月4日(木) 時間 18:30~21:00
群馬大学 荒牧キャンパス・社会情報学部棟106教室
(前回冬季セミナーと同教室)
テーマ “自衛隊の憲法9条加憲を考える!〜自衛隊は憲法に書き込むべきか?〜”

 

2019年度JSAG夏季セミナーは、74()18302100、群馬大学社会情報学部棟106講義室において、「自衛隊の憲法9条加憲を考える! 自衛隊は憲法に書き込むべきか?」をテーマに開催された。
プログラムとしては、まず①映画『STOP戦争への道 ― 続 戦争をしない国 日本』を上映(30分の短編映画)し、その後、②参加者に自分の意見を自由に発言してもらう討論会を120分開催した。その際、司会は藤井が、開会の挨拶は山田代表幹事、コメンテーターは参加したJSAG会員、閉会の挨拶は小谷幹事がおこなった。
映画には「ザ・ニュースペーパー」の松下アキラさんと福本ヒデさんも出演し、コントもあり、コメディ仕掛けの映画であった。当日、参加者に、私が作成したレジュメ(論点を整理した資料)を配布した。 そもそも「自衛隊は憲法に書き込むべきか?」という問題は、7月の参院選の一大テーマであったことから、この問題についてのみ、様ざまな分野の研究者と、人生経験豊かな市民と、将来の日本を担う学生とが徹底的に語り合うことには大きな意義があると考え、本セミナーは企画されたものである。参加者は計27名で、うち学生は18名だった。最後まで残ってくれた学生も、4名(男子3名、女子1名)いた。いずれも私のゼミ生ではないので、自分の意思で自発的に残ったものである。また、ネットで本セミナーの開催を知り参加してくれた一般市民1名(男性)もいた。
 映画はかなり極端な安倍政権批判を含んだ偏った内容であった。参加者から「ひどい映画」との発言もあったが、十分に考える契機を与えてくれる映画であったのは確かである。事実、その後、参加者全員で活発な討論がおこなわれた。特に、女子学生を含む学生の発言が多くあり、非常に興味深いものであった。やはり若い学生の発言があると議論が盛り上がるので、学生の存在は議論に不可欠であろう。この「自衛隊は憲法に書き込むべきか?」という問題については、いまだ学生の理解が進んでおらず、態度を決めかねているように見受けられたのが印象的であった。また、一般参加の女性の発言も、女性ならではの視点から現在の政治を危惧するものであり、貴重なものであった。確かに2時間の討論は少し長く感じられたが、2時間あればそれなりに意味のある討論ができることも実感した。テーマによっては、このような長討論のセミナーの企画もいいのではないかと思う。非常にインパクトが強くユニークな映画鑑賞の後、2時間も内容の濃い議論をすることができ、今回の企画は成功と評価していいのではないかと考える。この点、学生18人のアンケートのすべてが憲法9条改正に反対だったのには、非常に驚くとともに、大変にうれしい結果であり、大きな成果であろう。
 学生のアンケート結果で特徴的なものをいくつか紹介したい。①男子学生「すごくたのしかった。討論を聴くということがこれほどおもしろいとは思わなかった。当初は映画だけで帰ろうかと思っていたが、残ってよかったと思う」。②女子学生「映画を観て、日本国憲法改正が日本国民、アジアの国、アメリカに大きな影響を与えると思った。今まで私は、現在の政治について意欲的に知り、考えようとしていなかったが、この時間を通じてもっと知っていく必要があると感じた」。③男子学生「専門的な観点から見て、今の政権は今までで一番危ないという話を聞いて驚いた。ではどうして安倍政権は何年も続いているのだろう・・・と疑問に思った」。④女子学生「私は憲法9条の改正には反対です。この憲法があったからこそ、この70年間日本が戦争しなかったことに繋がっていると思うし、9条を改正しやすくするために憲法改正をするための条項を変えていくというやり方も汚いなと感じました」。学生は有権者であり、立派な大人なので、教員は自分の政治的意見をストレートに学生にぶつけ、対等な立場で討論すべきである。そうでなければかえって学生に失礼であるし、学生が学び成長することができない。偏見と偏見をぶつけ合うことで真実が見えてくるのである。この点で、大学内で極端に政治的中立性を求める文科省の態度は改められる必要があろう。
最後に、本セミナーに自発的に参加し、意見を述べてくれた一般市民の男性からもらったメールを転記する。このような参加者を一人でも多く増やすことが、まさにJSAGの社会的使命だと考える。「個人的な興味から、憲法などに関しても多少の勉強はしているつもりではありますが、自己流の勉強のため、自分の興味がある部分にのめり込んでしまうという癖があると思っています。今、自分が学ぼうとしているものが、一体どの位置にあるのかということもわからず、常に不安の中で勉強していました。昨日、藤井先生をはじめ、他の先生方、学生さん方のお話しを聞くことができ、学ぶことの楽しさを改めて知ることができました。本当にありがとうございました」。 文責 藤井