菅首相による日本学術会議会員の任命拒否に対する声明
2020年10月1日、菅義偉首相は、日本学術会議が推薦した新任会員候補者6名の任命を拒否しました。しかし、菅首相は、その本当の理由を説明しておりません。国民を代表する政権は、政権が行うあらゆる行為について、その理由を国民に真摯に説明する責任があります。そこで私たちは6人の任命拒否について以下の点の説明を強く要望します。
まず、今回の任命拒否の理由について、国民の中では、6名が安保関連法や特定秘密保護法、共謀罪等に反対していたからではないかという推測がなされているにもかかわらず、菅首相は、「総合的、俯瞰的に判断した」「推薦通りに任命しなければならないわけではない」「人事に関することで、お答えを差し控える」等と答えるのみで説明責任を全く果たしていません。それどころか、「民間出身者や若手が少なく、出身や大学に偏りがある」「閉鎖的で既得権益のようになっている」などと、問題を日本学術会議の組織問題にすり替えています。このような詭弁を直ちにやめて、菅首相は任命拒否の理由について国民に真摯に説明をして下さい。
また、1983年、当時の中曽根康弘首相は、日本学術会議会員について「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」と国会で答弁し、2004年に日本学術会議法が改正された際にも「首相が任命を拒否することは想定されていない」という趣旨の政府文書がつくられています。それにもかかわらず、菅内閣は、今回の任命拒否があってもなお「1983年の政府解釈を変更していない」と言い張っています。これも詭弁としか言いようがありません。この点についても、菅首相は国民が納得できるような真摯な説明をして下さい。
このような任命拒否によって、研究者が時の政権から独立して自由に研究活動をすることができなくなり、学問の自由(「憲法第23条」)が侵害されることを強く危惧します。学問の自由は、社会の歴史や現状をさまざまな角度から検討し、将来の選択肢を国民に広く提示するために不可欠なものです。
研究活動に携わる私たちとしては、6名を速やかに任命することを菅首相に強く求めます。
以上
2020年11月18日
日本科学者会議群馬支部
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