2023年12月25日月曜日

2024年2月 JSAG冬季セミナー

2月14日(水) 18:30~ ZOOMセミナーです。アドレスは下記のとおりです。

https://gunma-u-ac-jp.zoom.us/j/89938680975?pwd=v2GBNbscpEIvnDz0m5IZhdkchUdQw6.1


 

2023年12月8日金曜日

JSAG 秋季セミナー 酒井弘明氏 講演要旨

JSAG 秋季セミナーは11月22日(水)18時30分〜20時 ZOOMにて開催されました。今回のセミナーには、群馬県議会議員 酒井宏明氏を講師に迎えて「デジタル化にひた走る群馬県政」と題して、講演を行っていただきました。以下は、酒井氏 本人による要旨です。

 2期目を迎えた山本一太県知事県政は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に躍起となっています。県庁32階に動画スタジオ「tsulunos(ツルノス)」を設置したのをはじめ、JR前橋駅前に中高生を対象としたデジタル人材育成の拠点「tsukurun(ツクルン)」を開設。さらにGメッセに、TUMO(ツーモ:アルメニアのクリエイティブ人材育成プログラム)センターをつくろうとしています。また、前橋市と一体となって、GunMaaS(デマンドバスやタクシーの検索から予約、決済までスマホ一つでできるシステム)の社会実験に新年度4億円以上投入しています。
 群馬県議会第3回後期定例会には、路線バスでもマイナカードが使えるようにするための予算3900万円が盛り込まれました。しかし、キャッシュレス決済といいながら、県内私鉄3社はSuicaなど交通系ICカードが利用できません。また、GunMaaSで前橋市民割引を受けるのに、マイナンバーカードが必要となるなど、行政サービスに格差を設けるのかと市民から批判の声が寄せられています。
 さらに群馬県は、JR前橋駅から県庁まで(約1.8㎞)を「新たなモビリティサービスに対応した走行空間や沿道、街並みを含めた一体的な構想デザインを策定」するためとして3100万円を予算化しました。市町村乗り合いバスや路線バスへの補助は横ばい。既存の公共交通へのきめ細かい支援こそ求められています。
 そのマイナンバーカードの取得には、湯水のように税金がつぎ込まれています。ショッピングセンターに申請窓口のブースを設け、商品券や金券(1万円)を贈呈するなど、昨年度だけで2億8千万円を投入。これだけつぎ込んでも、保有率は全国平均並み(72.7%、全国35位:11月末現在)。申請したにもかかわらず、市町村窓口に受け取りに来ない人は県内で数万人もいる実態です。マイナンバーカードの取得はあくまでも任意であり、取得しない人が行政サービスから排除されるようなことがあってはなりません。(前橋市では高齢者へのタクシー券補助にあたり、2022年度からマイナンバーカードの取得が強制されています)
 マイナンバーカード保険証の利用に関して、医療機関の窓口でのトラブルが相次ぎ、利用率が6か月連続で低下(10月4.49%)しています。ところが政府は、2024年秋に現行の保険証を廃止することを決め、それに対してなにも言えない山本県知事県政の実態が浮き彫りに。
 さらに、「シリコンバレーを超える」などと豪語しながら高崎市と共同で進めている、堤ケ岡飛行場跡地への最先端企業誘致。2028年度から用地買収・造成工事を始めるとしています。このようにDXには熱心な一方で、県民のくらし、福祉には冷たい県政です。
 県民の粘り強い運動で18歳までの医療費無料化はこの10月から実現しましたが、一部補助を含めて県内34市町村に広がっている学校給食費の無償化にはきわめて消極的です。
 学校現場は今、教員不足が深刻となっています。2021年度から小中学校全学年で35人学級が実現したものの、毎年1億円も少人数学級のための予算を削減してきたために、9月段階で20人も不足しています。いじめや不登校が急増するなど学校が安心して学べる場になっていない現状があります。学校現場の諸課題を解決していくためにも、正規の教員を抜本的に増やしていくことが重要です。
 保育士の配置基準も4歳・5歳児は子ども30人に保育士1人の配置基準は75年間も変わっていません。1歳児は現在、国基準では6:1ですが、県では5:1に若干上乗せしています。これを4:1に改善するのに、あと4億円あればできるのです。ぐんまちゃんブランド化に昨年度4億円が投入されました。そのお金があれば実現できたのです。
 私は、こうしたデジタル一辺倒の県政を批判しつつ、コロナ対策や環境問題、朝鮮人追悼碑問題など県政の主な争点と打開策を語りました。
質疑応答の中で、大型道路の開発に関しての「費用対効果」が恣意的に行われているのではないか、デジタル田園都市国家構想の交付金は何に使われているのか、最近増えている「ひきこもり」への対策は、などの質問が出されました。
 また、「スクールカウンセラーは非常勤でなく、しっかり位置づけてほしい」「中学校の部活動の地域移行では指導者の資質や保護者負担など課題も多い」「教員不足は深刻。教員採用試験を受ける人も減っている。少人数学級の予算は確保すべき」など、たくさんの意見や要望が出され、有意義なセミナーとなりました。

文責 酒井弘明(群馬県議会議員)