日本科学者会議群馬支部の2019年度総会と講演会を以下の日程で行います。会員の皆様は、日程調整をしていただき、ご参加いただくとともに、支部の運営に関するご意見等をお寄せください。
◆日時:2019年5月9日(木)、18:30開始
◆内容:
講演会 18:30〜20:00
「切らずにガンを治す」重粒子線治療
〜群馬大学病院のこれまでとこれから〜
講師:小暮公孝氏(群馬大学総合外科学協力研究員・医師)
司会・コメンテーター:青木武生氏(群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部教授)
総会 20:00〜21:00/幹事会 21:00〜21:30
◆場所:前橋市総合福祉会館(前橋市日吉町二丁目17-10)3F第3会議室(定員43名)
講演概要
◆重粒子線施設がそもそもどのような経緯で建設されたのでしょうか、その建設費用の負担、治療実績はどうなっているのでしょうか、今後の見通しはどうでしょうか、など体験も交えてお話しします。
◆「切らずにガンを治す」重粒子線治療とはどんなものなのでしょうか、一般的な放射線治療とどう違うのでしょうか、など解説します。
◆腹腔鏡事件により群大病院は厚労省から問題を指摘され、一時的に特定機能病院の資格を失いましたが、患者さんも含めた病院内体制の改革が認められ、資格が再認定されました。その内容もご紹介します。
総会では2018年度活動経過、2019年度方針、会計監査の報告等を行う予定です。会員の皆様におかれましては、事前に送付された総会用議案をご持参ください。なお、どうしても都合の付かない場合、代表幹事宛に以下の委任状をご提出下さいますようお願いいたします。
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委任状
日本科学者会議群馬支部総会 議長殿
私は、2019年5月9日に開催される日本科学者会議群馬支部総会の議事等について、一切を委任いたします。
月 日( ) 氏 名( )
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講演会の写真です。
中央は講師の小暮氏
スライドを見ながらの解説です
参加者は講演者を入れて15名でした
参加者は講演者を入れて15名でした
「切らずにガンを治す」重粒子線治療 〜群馬大学病院のこれまでとこれから〜
日本科学者会議群馬支部総会記念講演 要旨2019年5月9日(木)前橋市総合福祉会館3階第3会議室
講師:小暮公孝氏(群馬大学総合外科協力研究員)
本講演は昨年の暮れに山形県科学者会議の要請に基づいて山形大学構内で行ったものに最近の知見を少し加えたものである。
1)重粒子線治療の医学的な効用(意義)について、その他の治療方法との違いなどを含めて、概括的な説明。
2)群馬大学での重粒子線治療施設の治療成績の当初の予測と実績についての概括的な説明。
3)群馬大学での重粒子線治療施設の財政面の概括的な説明。(施設単体の財政とともに、運営資金を大学の会計のなかでどのようにまかなっているのか。)
4)実際の治療症例の概要と、患者から見た重粒子線治療への期待。であった。
重粒子線治療は1970年代に米国のロースバークレイ研究所で開始されたが1993年に資金難と施設の老朽化により閉鎖された。米国に続き1984年に日本では千葉の放射線医学研究所で建設計画が開始され1994年に治療が開始された。群馬大学では2005年に建設計画が開始され2010年に治療が開始された。現在、日本では5施設が稼働中で他に2施設が建設中である。世界でも米国、中国、韓国をはじめとして16施設が稼働あるいは建設中である。
重粒子線施設の建設には莫大な費用がかかり大量の電力を消費するので大きなランニングコストがかかる。群馬大学の場合は当初、建設費150億円を見込んだが実際の建設費は125億円で国が80億円、県が40億円を負担し、群大の負担は5億円で済んだ。当初から借金なしでスタートできたのが幸運であったといわれている。現在のランニングコストは2〜3億円で黒字であるという。
重粒子線の特徴はメタンガスをプラズマ状態に閉じ込めて炭素原子から電子を剥離しC6+の炭素イオン粒子を取り出し、その炭素イオン粒子を高速の70%にまで加速し、それをコントロールして患部に当てるものである。照射範囲を患部に合わせて限局させることができ周囲臓器に与える影響を小さくすることができる。ガンのDNAの破壊力も通常の放射線や粒子線よりも大きいという。
重粒子線治療の対象疾患としては頭蓋底腫瘍、頭頸部ガン。肺癌、肝臓ガン、膵臓ガン、子宮ガン、直腸ガン、前立腺ガンなどがあげられる。中でも前立腺ガンの治療件数が飛び抜けて多くなっている。最近、前立腺ガンの重粒子線治療に健康保険が適用になり従来の324万円の治療費から数十万円の治療費負担に代わったことから患者数が、更に、増えている。
実際の前立腺ガンの治療では患者の体型に合った固定器具を作成し、あらかじめ計算された照射量で照射範囲にあわせて週4回x4週間、合計16回の照射で治療は終了する。大きな副作用も無く治療が終了するので仕事を続けながらの治療が可能である。
現在は、個々の症例における効果の検討が中心になっているが、今後、各症例に対する治療後の科学的な予後調査が行われ、本当の意味での他治療に対する優位性の証明が求められている。
小暮氏の講演の後、10分程度2014年に明らかとなった群馬大学附属病院において発覚した腹腔鏡事件以降、病院の手術体制で炙り出された問題点について、内部改革が徹底して行われた結果、特定機能病院としての資格が本年4月厚生省において再認定された経緯について、進行の青木から説明があった。
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